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マンション管理人.com

管理人をやりながら、世の中の色々を見ていきたい。

小説「マンション管理人.com」第二話③

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http://www.ac-illust.com/

2016.12.06

 

 

 土曜日の夕方、雄介は福山に向かう新幹線の車中にいた。
 夜には、西島と柴田と会食の予定だがすでに車中でビールに手を付けていた。雄介は自分でもこの酒好き具合には呆れているが、心と体が求めるから仕方がない。
 車窓からの景色を肴にしながら、昨日の電話の内容を思い返していた。
 「お電話ありがとうございます。お酒処花が舞うです」
 「あ、ママ?」
 「え、雄介?」
 

 もう花が舞うに通って三年が過ぎようとしていた。はじめは小笠原さんと呼んでいたが、いつのまにか雄介と呼ぶようになっていた。聞いたわけではないが、おそらく歳の近い美人ママに雄介と呼ばれると、こそばくもあり嬉しくもある雄介だ。
 「久しぶりやね。この間柴田さんと雄介の話をしてたのよ」
 「聞いた」
 「あら、けっこう仲がいいのね」ママの笑いが漏れた。
 「ママ、ちょっと個室を予約したいんだ」

 車窓の景色から高い建物が消えて、田畑が広がっていく辺りでもう一缶ビールを開ける。
 

 電話で今日の予約を済ませた雄介は、少しママとプライベートな話をした。主に両親の具合を気にしてくれるママの質問に答える形の会話ではあったが、普段の生活では感じない感覚が胸の中を小さな針がついたような不思議な感じだ。
 思いの外、ママに会える事を楽しみにしている自分に戸惑う雄介だった。

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http://www.ac-illust.com/

 

 福山駅を始めて訪れる人は、すぐ目の前に城壁が広がる光景に驚く人が多い。福山城跡がすぐ見えるのだ。
 雄介は改札を出ると、駅内のショッピングモールを抜け一番東端の出口から出た。
 JRの高架を縦にくぐる道を南下して、ひとつめの角を曲がれば「お酒処 花が舞う」がある。雄介の以前住んでいた社宅からだと徒歩二分ほどで、かなり酔っても帰る事に心配がない、まさに雄介にとってのオアシス的お店だった。

 

 雄介が店の前につくと西島が立っていた。すでに行灯には灯がともっている。
 奇をてらうことなく、白地に黒のかすれ文字で「花が舞う」と書かれている。
 「なんだよ、入って待っていればいいのに」と挨拶より前に声をかけた。
 「雄介、久しぶりだな」西島の顔が緩んだ。
 「おう、だけど考えたらまだ一カ月ほどだよな」
 「まぁな、だけど俺は寂しいぜ~」とふざけたトーンで言いながら、肩を抱いてきた。
 二人の笑顔が弾けた。

 

つづく。

by おしょぶ~

 

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