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マンション管理人.com

管理人をやりながら、世の中の色々を見ていきたい。

小説「マンション管理人.com」第二話⑧

小説「マンション管理人.com」
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 http://www.ac-illust.com/

2017.01.08

 

 

 「西島の言う事はわかった。でも柴田から見てお前と部長が上手くいっていないように映っているし、部下たちが気を使ってやりずらそうにしている事実もあるんだ」
 話の流れを元に戻した雄介の言葉に西島は応えた。
 

 「言いたい事は分かるよ。でも、ここは超えて行かなければならないところだ」
 「どう言う事だ」と柴田。
 「会社の労働環境を変えていかないといけない」
 「労働環境?」ちょっと、素っ頓狂な声を柴田があげた。
 「労働環境とは、また大きく出たな。西島」とほくそ笑みながら雄介が、すだれを開けて「ママ、竹鶴の熱燗ね~」と大きな声で注文した。

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http://www.ac-illust.com/

 「もう熱燗いくのかよ!」と言いながら、柴田が困ったような嬉しいような顔をした。

 広島は、焼酎よりは日本酒の方が受け入れられている土地柄だ。雄介は神戸に居る時は、寒くなれば焼酎のお湯割りを好んで飲んでいたが、広島で本当の意味で日本酒を覚えた。
 神戸の灘も日本酒で有名だが、完全に雄介の食わず嫌いで焼酎に流れていたことを後悔するほどだ。焼酎も美味しいし日本酒も美味しいと言うわけだ。要は酒飲みである。
 

 「何言ってる。好きなくせに」と柴田に悪戯顔を向けながら、「それで?」と西島に話を促した。

 「俺たちの37歳って言うのは、生まれは昭和だが文明・文化は平成だろ?」
 「そう言う見方も出来るな」と雄介。
 「部長はどっぷり昭和、若い奴らは昭和を知らない」
 「うん」二人が同時にうなずいた。
 

 「俺たち世代がクッションにならないと、会社は上手く回らないと思うんだよね」
 「でも、クッションなら部長の考えを上手く下に理解させる努力も必要だろうし、西島と部長つまり課長と部長が上手く行っていないのが、クッションと言えるのか?」と柴田が問いかけた。柴田に見えている状態、そのものだろうと雄介は思った。

 

 「だれが、両方のクッションって言った?俺は下を守っているの!部長の古い感覚での営業指導や管理からな」と西島が言った。
 「そのあたり、もう少し詳しく説明してくれよ。俺たち二人に」と雄介が促した。
 「ああ、せっかくこんな場までセッティングしてくれたんだし、俺も柴田と雄介が心配してくれたこと自体は感謝をしている。俺の考えも理解しておいてもらった方が良いだろう」と竹鶴を口に運んだ。

 雄介は長い夜になるなと思った。

 

つづく。

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