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小説「マンション管理人.com」第二話⑩

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2017.01.10

 

 

 雄介が話を続けた。

 「俺たちの刈り取りが遅れる。当然原稿依頼が遅れるわけで、締め切りとの勝負になるだろ?」
 「いや、さすがに言わなくても俺にもわかるよ。進行課は待ってくれないからな」と柴田が受けてそのまま「待っていたら本なんか出ないからな。結局、製作時間を短くすることになるよな」と言って、思い出した様に竹鶴を口に運ぶ。
 

 「ただ、制作時間を短くして解決するなら良いが広告のクオリティーを落とすわけにはいかない」と西島。
 「いいかげんな広告で、反応が有るほど今の消費者は甘くないからな」と雄介が話を受けた。
 「と、なると製作が寝ないで作るしかないと言うわけだ」と柴田が話を締めた。

 

 「で、西島は実際にはどうやって20%も残業を削減したんだよ」と雄介が振ったが、答えを聞く前に「お前、一緒に仕事をしていて分からないのかよ」と柴田にも振った。
 バツの悪そうな顔をしながら、「思い当たる事がない…」と柴田が言った。
 

 「いや、そりゃそうだ。ある程度までは特別な事はしなくても削減出来ると考えていたし、実際出来たからな。柴田が思いつかないのも無理はない」
 「どう言う事?ますますわからん」と雄介が重ねて答えを求めた。
 「だって、俺がサッサと帰っただけだから」
 「あ、なるほど」雄介と柴田の声が重なった。

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 「まぁ、分かってくれたと思うけど」と前置きをして西島が説明した。
 その説明では、課員の仕事の進行具合と残業の様子を見ていて、必要のない残業がかなりあると確信した。内勤者では、必要がなくてもダラダラ残業すれば残業手当が付くセクションもある。自分の手取りを増やすための残業。まさにこの輩は給料泥棒と言う事になる。ただ、営業は営業手当のみで残業が付く事はない。なので前者のような輩はいないわけで、何が無駄な残業をさせているのか西島は考えたと言う。

 

 

 「なんだよ?」柴田が突っ込み気味に聞いた。
 「簡単に言うと、目に見えない雰囲気だ」と答え、西島は話を続けた。

 西島の言うところ、当社の社風もあるが部長の存在が大きい。部長自体は営業として優秀なのは間違いのないところだ。ただ時代背景的に「どぶ板営業」が服をきて歩いているような人だ。100件回ってダメなら200件回る。100件電話してダメなら200件する。先方が朝が早いなら、それより早く行って会社の前で待つ。いや、そう言う事が必要な時もあるだろうが、ずっとじゃないはずなんだが、みんな部長の考え方をよく知っている。それは部長が指導者として、よく落とし込みが出来ているとも言えるが、時代に合わない。
 

 若い者の離職率が上がるだけだ。必要な残業を減らすには改革が必要だが、不必要な残業を減らすのは雰囲気を変えればいける。そう思い俺はなるべく定時退社に心がけるようにした。上の者が早く帰ると下は帰りやすいものだ。

 「しかし、よく部長が口を挟んでこないな」と雄介が言うと
 「いや、それは分かる。業績が西島の作戦を守っている」と何故か柴田が答えた。

 

つづく。  

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