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マンション管理人.com

管理人をやりながら、世の中の色々を見ていきたい。

小説「マンション管理人.com」第二話⑪

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http://www.ac-illust.com/

2017.01.26

 

 

 聞くと西島の課は、西島が課長になってからかなり先の月末まで、ノルマ達成が見えているとの事。柴田も雄介もそこそこ売る営業マンだが、課長になってからの西島は一回り営業マンとして成長していた。課員が足らずを出す分を、ことごとく自分の数字でカバーしている。

 

 「うん。分かるけど、そうなると下が育たないのではないか?」と雄介が疑問を呈し、柴田が横でうなずいて西島の返事を待った。
 「だけど、育てる対象が辞めたら誰に教えるの?まずは労働環境を良くして、続けてもらい営業の面白味などを感じてもらえるところまでもって行けば、自分の意思でガンガンやる奴も出て来るだろうし、マイペースでやる奴もいるだろうが、それはそれで活躍してもらうフィールドは用意出来ると思う」と西島は言った。
 「電報のような事件をうちで出さないようにしないとな」と重ねて西島が言った。

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http://www.ac-illust.com/

 電報は広告代理店最大手の会社で、そこの社員が労働時間過多により精神を病み自殺してしまった事件が世間を騒がせていた。雄介の会社も電報には及ばないが、広告代理店大手に入る。

 

 この事件を受け、上層部自体労働環境などハラスメントを含め改革に躍起になっているものの、現場のトップが中々昔の価値観を捨てる事が出来ず、進んでいない。

 この場合の現場の上層部とは、部長・課長にあたるが彼らから見れば、その改革とやらをまともにやって業績が落ちたら、責任は自分らがとるわけで雲の上の経営陣が言っている事を100%遂行する気はないだろう。ある程度のところで茶を濁しながら、業績も自分の立場も守りたいのが本音だ。

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 雄介は酒を口に運びながら考えていた。
 西島は現場の上層部、つまり金沢部長の中途半端な対応に切り込んでいっているわけで、部長にとっては鬱陶しいのかもしれないが、経営陣の意向に沿っているとも言えるし、業績も落としていないので文句も言えず、もんもんとしていると言う事か。

 

 「部長はそんなバカじゃないぜ」と西島が言った。まるで雄介の心の中が見える様に。

 「え?何がだよ」見透かされたのを、掃うかのように雄介が強めに答えた。

 「お前の考えなんか、すぐ分かるさ。俺が柴田に余計な事を言うなって初めに言ったのは、心配させたくないのと、その心配が杞憂だからだ」

 

 「心配してもしょうがないって言うのか?」少し口を尖らせて雄介が言った。

 「ああ、正確には心配にあたらないと言う方が正しいかな?」

 「もったいぶらず、ちゃんと説明しろよ」少し酔った口調で、柴田が入ってきた。

 

つづく。

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