おしょぶ~の~と

食レポを中心に、いろんな事を書いている雑記ブログです。

小説「マンション管理人.com」第3話⑦

スポンサーリンク

2018.09.10 

 

 雄介が会社を辞めてから、一か月が経っていた。

 まず、雄介が手を付けたのは、我が家のお金の算段だ。先の読みが浅いと言えばそれまでだが、今まで年齢的に比較しても年収は多い方だったが、貯えはほぼ無いと言っていい状態だった。

 誰かが言っていた。人生には上り坂もあれば下り坂もある。だが、もう一つ気をつけないといけない坂があると…「まさか!?」と言う坂だと。

 何のごろ合わせだよ!と鼻で笑って流したのを覚えている。同僚とスナックで飲んでいた時の話しだったと思う。

 

 しかし、その「まさか」は雄介の身に起こった。両親のW介護から追い詰められての、介護退職。しかも貯えが無いと来る。言い方は下品だが、あのおしっこに消えたお金を少しは、まさかの為に置いておくんだった。

 ただ、雄介は起こってしまった事をながく引きずる方ではなかった。ここから、どうするか?意識はすでにそこにあった。

f:id:masaru-masaru-3889:20180910121532p:plain

スポンサーリンク

 

 

 雄介は、母の貯え・父の貯え、そして僅かばかりだが自分の貯えを一つの口座に纏めた。そして、両親と雄介の支払い関係の引き落としも、その口座にまとめた。

 「ふ~、これで一元管理が出来る」…小声で言って自分で納得した。ため息が出るのも納得が出来る。両親のお金を動かすのに一苦労したからだ。

 

 特に寝たきりの母のお金を下ろすのに、自分は息子です…と運転免許証を出すぐらいでは下ろせない。まぁ、考えてみれば当然のことだ。

 区役所に行って、住民票や戸籍謄本、印鑑証明に介護関係の書類を揃えて、銀行の窓口で個別相談だ。お堅い銀行になると、裁判所で成年後見人の手続きをとってくれと言い出す。

 

 母の預金額など、そんな時間的・費用的パワーをかけるだけの額ではない。雄介は苦笑しながら、銀行員の話を聞いていた。ただ、ケアマネージャーが間に入ったりしてくれて、個別に銀行と書面を交わす事で最終的には話がついた。

 

 ほんとうに、めんどくさい数週間だった。思わず出た雄介のため息が、心からその労を洗い流す。ため息は幸せが逃げると言うが、精神医学ではストレス解消の効果があると、誰かが言っていたのを雄介は思い出した。

 

 雄介がため息をついた場所は、最近根城にしている酒屋の石原商店だ。今日もくたびれたサラリーマンで満員だ。

 石原商店のおやじが言った。「雄介、今日はなんかいい顔してるな」

 雄介は、苦笑いをしながらビールを追加した。すでに、石原商店では「雄介」と呼び捨てにされるほどの常連になっていた。

 

つづく。

スポンサーリンク

 

osyobu-osyobu-3889.hatenadiary.jp

osyobu-osyobu-3889.hatenadiary.jp

osyobu-osyobu-3889.hatenadiary.jp

osyobu-osyobu-3889.hatenadiary.jp

osyobu-osyobu-3889.hatenadiary.jp

osyobu-osyobu-3889.hatenadiary.jp

osyobu-osyobu-3889.hatenadiary.jp

 

osyobu-osyobu-3889.hatenadiary.jp